扁桃体と眼窩前頭前野の連絡
○構造の異常
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☆Phan, K. L., Orlichenko, A., Boyd, E., Angstadt, M., Coccaro, E. F., Liberzon, I., Arfanakis, K.(2009). Preliminary evidence of white matter abnormality in the uncinate faciculus in generalized social anxiety disorder. Biological Psychiatry, 66(7), 691-694.
☆概要
全般性社会不安障害者の扁桃体は社会的恐怖に対して、過剰に反応する。一方、眼窩前頭前野は扁桃体の反応を制御している。そこで、扁桃体と眼窩前頭前野を結合させる代表的な白質経路である鉤状束の構造を調べた。
白質の構造を調べることができる拡散テンソル画像法を用いた。
その結果、健常者と比較して、全般性社会不安障害者は右の鉤状束の異方性度(軸索の構造の指標)だけが有意に低かった。
☆コメント
おそらく、社会不安障害者の扁桃体‐眼窩前頭前野の白質経路を初めて拡散テンソル画像法を用いて調べた研究です。
拡散テンソル画像法は水分子の拡散を調べることにより、異方性度を算出できます。異方性度の低下は軸索や髄鞘が減少していることを反映しています。したがって、この研究は、全般性社会不安障害者における鉤状束の白質経路の構造の異常を示唆しています。ただし、著者も述べているように、この白質経路の異常は双極性障害や統合失調症の人にも見出されています。
ただ、なぜ右の鉤状束だけ異常が見出されたのか疑問が残ります。これは、左右の大脳半球の非対称性を反映しているのでしょうか?また、ベック抑うつ質問票で社会不安障害者の得点が健常者と比較して有意に高くなっていることが気になります。というのも、社会不安傾向ではなく、抑うつ傾向が強いから、白質経路の異常があったとも考えられるからです。
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