ドーパミントランスポーター

○密度

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☆Tiihonen, J., Kuikka, J., Bergström, K., Lepola, U., Koponen, H., Leinonen, E.(1997). Dopamine reuptake site densities in patients with social phobia. American Journal of Psychiatry, 154(2), 239-242.

☆概要

社会不安障害は、低下したドーパミン系の伝達と関係している。そこで、ドーパミンを前シナプス細胞に取り込むトランスポーターの密度を調べた。

ドーパミントランスポーターの密度は、放射性トレーサーの分布を画像化できる単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)により評価した。トレーサーは放射性同位体(ヨウ素123)で標識したコカイン類似体、β-CITを用いた。なお、β-CITはセロトニントランスポーターにも結合する。この結合を阻害するため、β-CITの投与後、1時間経過してから、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)であるシタロプラムを服用させた。

その結果、全般性社会不安障害者は、健常者と比較して、線条体のβ-CITの結合が有意に低かった。

☆コメント

この結果は、全般性社会不安障害者の線条体で、ドーパミントランスポーターの密度が低下していることを示唆しています。

この研究では、社会不安の持続期間が患者毎に大きく異なっています(1.5〜35年)。しかし、症状の持続期間とトランスポーターの密度の相関は有意ではありませんでした。このことは、社会不安の発症要因としてトランスポーター密度の低下があるとの考えの根拠の1つになりそうです。もし、社会不安の結果として、密度が低下したのなら、症状の持続期間と密度が負の相関関係にあってもおかしくはないからです。

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緘黙症
社会不安障害

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