ドーパミン受容体-社会不安障害‐

○結合能

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☆Schneier, F. R., Liebowitz, M. R., Abi-Dargham, A., Zea-Ponce, Y., Lin, S. H., Laruelle, M.(2000). Low dopamine D2 receptor binding potential in social phobia. American Journal of Psychiatry, 157(3), 457-459.

☆概要

社会不安障害は、低下したドーパミン系の伝達と関係している。そこで、ドーパミン受容体の一種であるD2受容体の結合能を調べた。

社会不安の程度をLiebowitz Social anxiety scaleで評価した。また、線条体のD2受容体の結合能は放射性トレーサーの分布を画像化できる単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)により評価した。トレーサーは放射性同位体(ヨウ素123)で標識したヨードベンズアミドを用いた。

その結果、放射性トレーサーの結合能は、健常者よりも全般性社会不安障害者の方が有意に低かった。社会不安障害者において、結合能が低いとLiebowitzの社会不安尺度得点は高くなる関係(負の相関)は有意傾向だった。

☆コメント

この結果は、全般性社会不安障害者の線条体において、D2受容体の結合能が低下していることを示唆しています。

ただ、結合能と社会不安の程度に関する負の相関関係が有意傾向だったことから、D2受容体の役割は明確ではありません。また、D2受容体の密度が低下しているので、結合能も低下しているとも考えられます。

線条体以外で結合能が低下している脳領域があるのか?という点も研究する必要があります。ただ、Tiihonen et al.(1997)によれば、1997年時点では、生きている人の線条体外にあるドーパミン受容体を画像化できる物質(リガンド)はなかったということです。現在では、そのようなリガンドがあるのでしょうか?

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緘黙症
社会不安障害

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